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MINAMI-NET

minami_mのDTM・ガジェット…etc のブログ

【インタビュー】ファミシンセⅡの製作者に聞くWindows搭載シンセ「TERMINI」とは!?

シンセサイザー

はじめに

きっかけは以前に書いた記事でした。コンピュータ(Windows/Mac)を搭載し、DAWや、豊富なVst音源が使用可能な、一台で曲作りが完結するワークステーションシンセサイザーをいつか作ってみたいという私の願望を書いた記事です。

minami-m11.hateblo.jp

この記事についてTwitterで数人の方から反響をいただきました。その際情報提供をいただき、私よりもずっと以前から同じ考えをお持ちで、5年間かけて実際に試作品を製作され(2007年完成)、量産も検討された方がいることを知りました。この方こそ、ファミシンセⅡの製作者でもある、mu-Rayさんです。

ファミシンセといえば、チップチューンのトラックメイキングには馴染み深い、定番VSTです。ヒャダインさんも、とあるインタビュー(下リンク)の中で「よく使っていた」と発言されており、情熱大陸の一場面でも実際使用されていたことで有名です。

musicfactorytokyo.com

 

ファミシンセⅡ以外にもVSTプラグインを製作されています。また、早くからタッチパネルにプロジェクターでソフトシンセを投影し、パラメーターが操作できるものを開発するなど、どこまでも時代を先取りされています。

私自身、ファミシンセⅡはフリーのDAWDTMをやっていたときから使っていたプラグインだったので、今回このようにお話を伺うことができ、光栄でした!

 

さて、上記で紹介させていただいたWindows搭載ワークステーションシンセサイザーの試作品こそが「TERMINI」です。

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このTERMINIは、構想から5年をかけて2007年に完成したハンドメイドのミュージックワークステーション型パソコンです。
VSTiやReason等をより快適にリアルタイム演奏できるようにデザインしました。
"TERMINI"はWindowsパソコンの持つ機能をそのまま内蔵していますので、 Windows向けVSTをハードウェアシンセのように快適に扱うことができます。 そして、液晶タッチパネルによって、全てのパラメーターは直接画面上で制御できるのです。
TERMINI試作機は、約16万円程度の制作費で完成しました。
(公式サイトより抜粋)

今回、TERMINIについて、構想や製作について伺いたくコンタクトを取ったところ、快くお引き受け下さり、返答をメールで送っていただきました。

ファミシンセⅡの製作者に聞くワークステーションシンセ「TERMINI」とは!?


PCのスペックがあがり、PC内でほぼ楽曲制作が完結できるようになってきました。だからこそいまWindows(Mac)搭載ワークステーションは求めている人も多いのではないかと考えています。TERMINIの発想のきっかけはどのようなものだったのでしょうか。


市販のPCを使ってDAWを使う場合、パソコンのモニターの位置や高さ、パソコンキーボードやマウスの配置、そこへMIDI鍵盤の配置などに悩まされます。
そのためのDTM専用家具などはありますが、おおよそ最適な姿勢でDAWを扱えている人は多くはないでしょうね。そういう中で、より使いやすくと考えたのがTERMINIでした。
試作でもあったので、まずはDAWのことをいったん置いておいて、ソフトシンセをハード化するという第1ステップまでもっていくためにアレを作りました。
TERMINIを作った時も、デザインやコンセプトを少しずつ変更しています。Flickerに置いてあるデザイン案の中に、白っぽい第1案があるのですが、その頃はまだDAWを動かせる13インチモニタくらいの操作端末を想定していました。本体はMac miniで内蔵とは限定せず、画面と操作部を集約した端末「TERMINI「(ターミナルのイタリア語)」だったわけです。

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そうしてるうちに、パソコン自作のブームが来てmini-iTXが登場し、これは本体内に入ってしまうのではないかと考え、第3案あたりからPC内蔵ありきの仕様に変わっています。
まだトラックボールを使う想定でしたが、タッチパネルが部品として購入できることがわかったので、最終デザインではトラックボールをタッチパネルに置き換えました。
どれほどの人がこういうハードウェアに興味を持たれるかは正直わからないのですが、見てくれた人の反応は割と良いので、実用的かつ楽しく見えることが重要なのかなと思ったりもします。理想はもっと大きなモニターで、最強のスペックのPCでDAWがガンガン動くことだと思いますので、相応にデザインすればおのずと使いやすいワークステーションは作れるだろうと考えています。

 

タッチパネル液晶、ベンドやモジュレーションなどのホイール、3つのスイッチ等、通常のPCにはない構成がありますが、これらはドライバが供給されている部品を使っているのでしょうか?既存の製品からの流用でしょうか?


TERMINIの鍵盤は、M-AUDIOMIDIマスター鍵盤をばらして組み直しています。
ベンダーホイールはそのまま移植ですが、オクターブUp/Down、ファンクションキーをビンテージシンセに使われていたようなスイッチに、フェーダーだったデータエントリーをオーディオアンプ用のアルミのノブに置き換えただけなのです…。
なので、実はそんなに高い操作性があるわけではないのですが、タッチパネルを採用したので、画面上のソフトシンセを直に操れるので、そこはカバーされているという考え方です。
右側にパソコンキーボードをつけていますが、ソフトキーボードなどを使うのであれば、この部分はなくてもよかったところです。ただ、パソコンである風にも見せたかったこともあり、これも市販のものをバラシて入れてあります。
また、同時にSynthEdit(Famisynthなどを作ったミドルウェア)でTERMINI専用のアナログシンセもデザインしました。
http://www.synthedit.com/
これは最終的には思うような動作をしてくれなかったのですが、
タッチパネル上にマトリクスにアナログシンセのパラメータをボタンとしてならべ、それを押しながらアルミのダイヤルをひねるとそのパラメータが変わるというものです。
昔のデジタルシンセには似たようなものが多くありましたが、タッチしている間だけ選択されるので、うまくいけばサクサクと音作りができるはずでした。
ただ、私の作ったプログラムでは、手を放すと数値がいつのまにかゼロになってしまうという問題があったため(これはSynthEdit側の仕様によるもの)、実験で終わりました(^^;
それが作れたとしたら、この少ないパラメータでも音作りはし易いものができたと思います。

TERMINIは、レイテンシーの問題はどのようにクリアされたのでしょうか?

使ったマザーボードCeleron直付けのmini-iTXマザボですが、CPUスペック的にはPentium4クラスの処理能力がありました。メモリも1GBしか載らないマザーボードだったので、DAWを走らせたり複数のソフトシンセを走らせることは難しいと思いますが、鍵盤で弾くためだけに一つソフトシンセを立ち上げるには十分すぎるパワーがありました。
オーディオ出力は横着してマザーボードからの出力をそのまま使っており、ASIO4ALLというフリーのユーティリティーを使って、レイテンシーも256bpsくらいでも動かせたので、楽器としてのポテンシャルには影響のないマザボでした。



製作されたTERMINIのスペック増強などはお考えでしょうか?今後の展望がありましたらお聞かせください。

現状今はプランはありません。iPadによるシンセのスペックがかなり上がったことが、TERMINI制作の継続発展をかなり削がれてしまったところがあります(^^;
Flickerにも少し映ってますが、実は画面を大きく操作ツマミを増やした2号機を途中まで作っていました。

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設計や組み立てよりも塗装でピアノ風の光沢を出すのに手間がかかりすぎるので、それを前にしてテンションが下がってしまったこともありますが、iPadでそこそこのシンセが出てきたので、それならiPadと繋がるTERMINIを作ればいいんじゃないかなと思い始めたところ、結果的には全く定着しませんでしたが、国内外のメーカーが実際そうした製品を出してきたので、もう作る意味がないかなと思って中止してしまいました。
そのマザボなど一部部品はMS-20に入れるなど流用しましたが、2号機筐体は分解して廃棄、使われていない液晶モニタやタッチパネルがまだ押入れにゴロゴロしてます(^^;
それらも今となっては低画質低性能のタッチパネルなので、今ならばWindows surface4などをそのまま使う方がいいんでしょうね…。個人的にはMacユーザーでDAWProtoolsなので、Mac miniProtoolsが動くTERMINIがあれば、それだけで制作ができるのですが、そのためには大きなモニターとタッチパネルを調達して、新しい筐体を作らねばならず、置き場所も現状ないので、そこまでには至ってないというところですね。
自分が使うのと、夢としてもし量産して使ってもらうのとではアプローチも変わってくるので、量産化するならば前述のとおり、ターミナルとしてPCはオプション扱いで外付けor内蔵、Win or Macタブレット…自由度を持たせるのが良いんだろうなと思うところであります。
もし今あらためてTERMINIの在り方を考えるなら、初心に立ち戻りPC内蔵はマスト要件ではないかもしれません。
PCそのものがユーザーによって好みがまちまちであることから、PC自体の調達はユーザーに任せ、遠隔操作の端末としてTERMINIに画面と鍵盤、その他コントローラー類がシンセライクに集合していれば、結構使い勝手は上がるだろうと思います。PCを切り離すので、量産した時の価格も実質的には下がるでしょうし。
ただそれでは、MIDIマスター鍵盤にタッチパネルモニターがついただけ、という見え方もしてしまうので、オーディオインターフェースもシンセ側に持たせ、DAWやソフトシンセも推奨するソリューションと一丸にすることができれば、もっと格好はつくかなと思ったりします。
ちょうどNIのKOMPLETE KONTROLみたいな売り方ですね。
https://www.native-instruments.com/jp/products/komplete/keyboards/komplete-kontrol-s-series/
これに元からタッチパネルモニターやPCキーボード、オーディオI/Oも内蔵してあれば、PCだけは外部だけれども、シンセライクに扱えるようになると思います。
PC内蔵はカッコはよいのですけれど、一気にコストもあがりますし、放熱が結構課題になりますね…前にお話しした通り、ベアボーン的なものになっていて、PCを外付けもできるし、mini-iTXMac miniも専用トレイに組んで内蔵できるような汎用性があれば、結構面白いものにはなるかもなという思いはあります。
 

 所感

 私としても意義のあるPC内蔵型シンセとは何か、改めて考え直しました。

また、自分で使うのと、量産して販売するのとではアプローチが違うということも、大変勉強になりました。

まず、私が個人的に作りたいと思ったのはFANTOMやKRONOSのようにステージ映えするPC搭載ワークステーションシンセです。しかし、もし他の人にも使ってもらいたいと考えたとき。もっと俯瞰してみてみるとステージ上にソフトシンセを持ち込むのは一般的だとは言えません。むしろPCでDAWを使う方はデスクトップPCと鍵盤をデスクに据え、一箇所で曲作りをされていることが多いと思います。

このような方々の需要に応え、iPadとの差別化を図るには…

VST(AU,RTAS)プラグインが動作する、フットワークは軽く、操作のしやすい

どこでもスタジオに近い環境で曲作りが完結する軽量ワークステーションシンセサイザーではないか?と感じた次第です。

ただ、KORG nano KEY Studioやnano KONTROL Studioがその場所に収まっている気がしてなりません。(KEY,KONTROLが別になっているので必ずしもフットワークが軽いのかはわかりませんが…)

そうなるとステージ上で使って安心な安定性を備えたPC搭載型ワークステーションが求められているのでしょうか…?

企業もこのような疑問を解決するためにマーケット調査をされているんだなぁ…と感じます。結論として、ニーズは、はかりかねておりますが、ひとまず「私は私がほしいものを作る」のスタンスで参りたいと思います。

 さいごに

この先、DTMを巡る界隈はどんどん発展し魅力的な製品が次々と発売されると思います。(そう願っています)もしかしたら、私が望むようなものも生まれてくるかもしれない。

しかし、2002年のmu-Rayさんのように「ないなら自分が作ろう!」という精神はクリエイターにとって忘れてはならないものだと思います。私もこれを忘れずクリエイティブな活動にチャレンジしていきたいと感じたインタビューでした。

mu-Rayさん、この度はお忙しい中お時間を作って質問に答えていただきありがとうございました!

リンク

mu-Ray公式サイト:mu-Ray's "mu-station"

TERMINI紹介ページ:http://www.geocities.jp/mu_station/index.html

mu-station flickermu-Ray mu-station | Flickr

mu-station Twitter

Minami_M Twitter